1. TOP
  2. サステナビリティ
  3. トップメッセージ

Top Messageトップメッセージ

TOP MESSAGE

創業より受け継がれる精神と企業文化

 私たち三ツ星ベルトには、1919年の創業から連綿と受け継がれてきた価値観と企業文化があります。 創業時の理念は “真心のこもった商品を作れ”。この精神を起点とし、「もっと良い製品を作ろう、社会の、人の役に立てる会社になろう」 -そのような想いで私たち三ツ星ベルトは事業を行ってまいりました。そして、お客さまや社会の課題一つひとつに真摯に向き合い続けることで技術力が磨き上げられ、また、品質第一主義を貫き、単に規模・利益の拡大を追い求めることはせず、社会との共創を目指してきた企業文化は、今なお私たち三ツ星ベルトに深く根付いています。

サンプル

三ツ星ベルト株式会社
代表取締役社長:池田 浩

「ありたい姿」実現に向けて

 こうした企業文化・DNAを大切にしながらも、持続可能な社会の実現に向け、経済価値と社会価値を共に創出し続ける事業運営を目指し、当社は今変革を進めているところです。

 2022年5月、当社は、'21中期経営計画の見直しを行うと共に、2030年度の「ありたい姿」を発表しました。「ありたい姿」実現に向けては、収益性、資本効率性、株主還元、ESGなど各々にKPI目標を設定し、これらの達成に向けた種々の施策の取り組みを進めているところです。また、 2023年には、新たに『目指す姿』を制定するとともに、基本理念・経営基本方針・社訓などを一つの理念体系として整理しました。改めて言うまでもありませんが、変革を実現する最も大切な要素は人材であると考えています。「当社の全ての従業員が、同じ価値観・想いをもってそれぞれの “チャレンジ”に取り組んでいける。」-「ありたい姿」実現に向け、そのような企業風土の醸成にも注力しています。

2030年度の「ありたい姿」
「変化にぶれない強い企業体質の確立」

チャレンジしないことが、最大のリスクになる」

 当社を取り巻く市場環境の変化は著しく、そのスピードは加速しています。自動車産業においては、自動運転やEV化といった技術革新が進み、産業構造に劇的な変化をもたらしています。このような状況下で“現状維持”を図ることは、時代のニーズに対応できず、持続可能性を著しく損なうリスクを伴います。当社にとって最大のリスクは “チャレンジをしないこと” であると私は考えています。

 当社の事業は新規参入が難しいニッチな業界であることからか、これまでの当社の企業風土は保守的なものであったと感じています。2030年度の「ありたい姿」における人材戦略で掲げる「変革を推進する人材の育成」を実現するためには、先に触れた、これからも大切にするべき価値観を守りながらも、変えるべき風土については躊躇なく変えていくことも必要となります。組織の変革は、単なるプロセスや施策の導入ではなく、従業員一人ひとりの意識と行動に根差しています。したがって、私は2021年6月の社長就任以来、折に触れてグループ全体に「チャレンジしよう」というメッセージを発信し続けてきました。一朝一夕には実現しませんが、私自身が先頭に立ち、組織の意識改革に取り組んでいきたいと考えています。そして、意識の変化が自発的な行動を生み、当社従業員一人ひとりが変革の主役として活躍できる環境整備にも取り組んでいます。

 『目指す姿』の制定および理念体系の整理については前述の通りですが、これを契機に従業員一人ひとりとのエンゲージメントを高め、それを組織全体の行動変容につなげることで持続的な成長と競争力の強化を図ります。

 また、“チャレンジ”を実践するに際しての会社としてのメッセージを従業員に明確に伝えられるよう、2023年度には従来の人事評価制度を改め、コンピテンシー評価を取り入れた新たなものへと刷新いたしました。これにより、失敗することのリスクを恐れず挑戦的な取り組みへの新たな一歩を踏み出すことを後押しできればと考えています。

 これら施策の結果、多くの業務プロセスにおいて、前例踏襲を良しとしない新たなアプローチ・提案が多くの従業員から上げられるようになっており、また、組織のヒエラルキーに関わらず活発な議論が行われている様子を目にする場面が増え、企業風土改革の手応えを感じています。今後は、外部人材も含めた多様な方々の能力を掛け合わせることで収益性向上への大きな推進力を生み出し、さらなる企業風土改革に取り組みます。

変革の進捗状況 ~'21中期経営計画の振り返り

 2030年度の「ありたい姿」実現のための第1フェーズ:「基盤強化期間」として位置付けた'21中期経営計画では、2年目の2022年度に、企業価値向上を強く意識した資本政策へと抜本的な見直しを行い、収益性向上とバランスシート改善のための各種施策に取り組んでまいりました。結果、2021年度末時点で660億円であった当社の時価総額は、2023年度末('21中期経営計画最終年度)には 1,452億円と2年間で2.2倍となり、売上高、設備投資額、配当性向、ESGなどの項目においてもKPI目標を計画通りに達成することができました。一方で、ROEについては、政策保有株式の市場価格上昇などにより資本が増えたことでKPI目標未達となり、'24中期経営計画に向けての課題の一つとなりました。

成長と企業価値の向上へ ~'24中期経営計画

 '21中期経営計画期間においては、新型コロナウイルスの感染拡大や世界各地における紛争に伴う原材料・輸送費の高騰など、これまで経験したことのない事業環境下において、どちらかといえば守りを重視し、慎重なかじ取りが求められた事業期間であったと感じています。2024年度からは、「ありたい姿」実現のための第2フェーズ:「成長加速期間」として位置付けた'24中期経営計画が始まります。フェーズ名称の通り、前'21中期経営期間中に強化してきた事業基盤を活かし、確実な成長と企業価値の向上に取り組んでいかなければなりません。

 '24中期経営計画では、収益性・資本効率性などのKPI目標を設定すると共に、企業価値向上に向け、「収益性向上」と「バランスシート マネジメント」の2つの柱を設定しました。

 収益性向上のための施策では、「DX化推進」、「技術開発強化」、「事業ポートフォリオの最適化」などを施策として設定しましたが、なかでも当中期経営期間における最重要課題として「人財戦略強化」に取り組みます。変化の著しい事業環境や顧客ニーズに迅速に対応し持続的な成長を実現するためには、新しい発想と変革を恐れないチャレンジを是とする企業風土への変革が不可欠です。個の力を最大化に引き出し、それら個の力の結集がシナジー効果を生み、強固な組織力に変えていく。-こうしたビジョンを具現化するための戦略的施策の展開を現在進めているところです。

 バランスシート マネージメントにおいては、「成長投資・経営基盤強化」、「資産効率向上」、「株主還元」の3つの戦略に注力して取り組みます。前計画からの継続施策に加え、当中期経営計画期間においても、大きな投資効果が見込まれる「革新的な生産ラインの導入」や「脱炭素化推進に大きく貢献する工法」の実現を通じ、収益性の向上と競争力の強化を図り、これにより、資産効率の向上と株主還元の最大化を目指します。株主の皆さまへの利益還元は、当社の経営における重要な方針の一つであり、成長投資に必要な資金を確保しつつ、株主還元を充実させることを基本方針としています。株主還元についての2026年度のKPIでは、当期純利益に左右される「配当性向」を改め、株主の皆さまへの還元がどの程度であるかを明確にするために、その指標にDOE(自己資本配当率)を採用することとしました。2026年度のKPIを DOE:5.4%程度とし、1株当たりの配当金は180円以上とすることを計画しております。

事業戦略 ~顧客価値に着目した共創型ビジネス

 各事業の戦略については、基本方針を「顧客価値に着目した共創型ビジネスモデルの推進」とし、コア事業であるベルト事業の体質を強化し更なる収益性の向上を図ります。

共創型ビジネスモデル

 当社は創業以来100年以上にわたり、お客さまや社会の課題一つひとつに真摯に向き合い続けることで新たな製品やソリューションを創出し、時代ごとの社会課題の解決に貢献するとともに、ステークホルダーとの価値共創を実現してきました。当社の強みの一つである共創型ビジネスモデルの深化により、お客さまが抱える課題、そしてその延長線上にある社会の課題を的確に捉え、顧客価値を最大化することで更なる競争優位性の確立を目指します。

コア事業の体質強化

 私たちの製品は自動車をはじめとし、農業機械、各種産業機械、または環境関連装置・設備など、多種多様なあらゆる機械・機器に使用されています。市場環境の変化が著しい現代において、今後も持続可能な形で収益性を向上させ続けるためには、各業界・市場ごとの成長性や収益性の分析が必要であることは言うまでもありません。当社では現在、最適な事業ポートフォリオの実現に向けた分析を進めているところであり、これにより、今後のコア事業のより一層の体質強化を図ってまいります。

ESG経営における当社の取り組み

 私が社長に就任して以来、ESG経営の推進を当社の戦略的な変革の一つとして位置付けました。基本理念「人を想い、地球を想う」のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献できる企業づくりを強く推進しています。

 脱炭素社会の実現に向けたCO2排出量削減活動の推進はもちろんですが、現在当社が注力している施策の一つに、サステナビリティをコンセプトの根幹においた次世代製品の開発が挙げられます。当社はこれまでも、自動車の燃費改善や、設備の省エネルギーに貢献できる種々のベルトを開発・販売していましたが、これらの製品に加え、例えば、非化石由来またはリサイクル材料の使用比率を70%にまで引き上げた製品等の開発を進めており、これら製品の販売により、当社の製品が一層の環境負荷軽減に寄与し、社会的価値の創出に貢献することを目指しています。

 前述した人財戦略のほか、人権の尊重に係る取り組みも、企業が社会の一員としてその責任を果たし、持続可能な成長を実現するための必須条件です。三ツ星ベルトグループにおいても、すでに策定済みの「人権方針」、「調達方針」に加え、2024年2月には「調達ガイドライン」を制定・開示し、サプライチェーン全体での人権デューディリジェンス推進の取り組みを進めているところです。

 ガバナンスに関しては、経営の透明性と信頼性向上のための種々の取り組みを進めています。社外取締役の割合を1/3以上とし、取締役の任期を2年から1年に変更するなど、ステークホルダーの皆さまとの対話を通じ頂戴したご意見も取り入れながら、エンゲージメントの向上にも引き続き取り組んでまいります。

最後に

サンプル

 「ありたい姿」実現に向けた取り組みを開始してから3年目を迎えましたが、私たちの取り組みにゴールはありません。2030年度の「ありたい姿」の実現を一つのマイルストーンとし、50年先、100年先にも持続可能な社会の実現に貢献できる会社であり続けることが当社の重要な使命であると考えています。

 サステナビリティページでは、当社の現在および未来に向けた取り組みに加えて、当社のこれまでの歩みにも焦点を当て、価値創造プロセスをはじめとする種々のコンテンツを丁寧にお伝えさせていただきます。三ツ星ベルトは、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまとの価値共創の実現に向けた“チャレンジ”を引き続き推進してまいります。今後とも当社事業活動へのご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

2024年9月